NASとは、Network Attached Storageの略で、LANに接続して利用する外付けハードディスクです。NASと表記して「ナス」と読みます。
DASとは、Direct Attached Storageの略で、USBやeSATAなどでパソコンと1対1で直接接続する外付けHDDを指します。パソコンのUSBポート等に接続するだけで簡単に導入できる反面、パソコンに1対1で接続して利用する場合が多く、1台のDASに保存したデータを2台以上のパソコンで共有して使おうとすると、使うたびにつなぎ換えが必要です。
また、ネットワーク経由でDASを共有する場合も、DASが接続されたパソコンの電源が入っていなければ、他のパソコンから接続できないなど、ファイル共有には不向きです。
これに対して、NAS(ネットワーク接続ハードディスク)は名前の通りネットワーク上=LANに接続します。そのため、1対多数の接続が可能となり、パソコンの電源のON/OFFに関わらず、複数のパソコンから同時に接続でき、いつでもファイル共有を行うことが可能です。
1. LANにつながるパソコン間でファイルを共有
LANで接続された複数のデバイスからアクセスできるので、LAN内でファイルの共有が可能になります。
共有しているファイルに対するアクセスの権限を細かく設定できるため、社員ごとや部署ごとにファイルに対するアクセスを「閲覧のみ」や「編集も許可」にするなど細かく指定することができます。
2. ファイルを安全にバックアップ
NASはRAID(複数のHDDを1つのドライブのように認識させる機能)によってデータを保存することに特化したデバイスなので、大切なファイルのバックアップ用に最適です。
RAID1という構造になっているNASであれば2台のハードディスクに同じデータを保存するので、片方のハードディスクが物理的に故障しても、もう一方のハードディスクから復旧が可能です。
3.データ保存スペースを有効活用
個々のパソコンについているハードディスクの空きスペースは、それぞれの人がどんな使い方をしているかによってまちまちです。
大量のデータを保存している人のハードディスクスペースが足りなくなる一方で、あまりデータを保存していない人のハードディスクスペースが余るというのは効率が良くありませんが、NASであればそれぞれの人が必要に応じてスペースを利用できるので有効活用が
できます。
4.フリーアドレスオフィスを実現
それぞれの社員がノートパソコンを好きな席に置いてNASにアクセスをして業務上必要なファイルを編集すれば、特定の席を設けないフリーアドレスオフィスが実現します。
5.情報漏洩に対する強固なセキュリティ
NASの中でも業務用のモデルを中心に、そこに保存するファイルは大切なもの、漏洩してはいけないものであるという前提で設計されています。
高度なアクセス権限の設定機能より、NASへのアクセスを交通整理して不正なアクセスや情報漏洩のリスクを軽減できます。
さらにハードディスク内を暗号化するのでNASそのものが物理的に持ち去られることがあっても内部データは漏洩しません。
NASに共有フォルダーを作成することで、NASと同じネットワーク内で接続されているパソコン同士で共有フォルダーにデータを保存・ファイル共有ができるようになります。
共有フォルダーはOSのログインアカウントによるアクセス権を使って、それぞれアクセス可能なユーザーやグループなどを設定することで、他部署からはアクセスできないフォルダーや、個人専用のフォルダーなどを作成し、運用することができます。(アクセス制御)
NASはパソコンだけなく、NASへのデータ保存に対応する複合機と連携することもできます。
複合機でスキャンした書類をファイル化し、NASに直接保存したり、また、受信したFAXを印刷せずにNASへ保存することで、ペーパーレス化によるコスト削減にも活用できます。
NASは、メーカー等がソフトウェアを開発しているオリジナルOSモデル(Linux)と、Microsoft社のファイルサーバー用のOS(Windows Storage Server)を搭載した二種類に大別することができます。
弊社では、WindowsStorageServerを推奨しています。
理由としては、
・Microsoft社のServerOSのため、クライアントOSがWindowsの場合、高い親和性があるのでデータの送信速度が高い。
・WindowsOSのため、設定のカスタマイズやアプリケーションのインストールが可能。ウィルスソフトやバックアップソフトなど。LinuxNASはインストールできるソフトに制限があり、導入が難しい。
・WindowsはCPUやメモリなどハードウェアがLinuxに比べ高スペックのため共有データへ同時アクセスに強い
・ストレージサーバーはOSが壊れた場合もデータを取り出す事が容易だが、LinuxはOSやコントローラーが破損するとデータの復元が非常に困難となる。
・別途保守契約が必要となりますが、StorageSVであればリモート接続によるサポートが可能
Linuxの場合は直接接続することが出来ないのでお客様のパソコンへ接続した上で接続する必要がある
データ共有やバックアップなど、いつも便利に活用されているNAS。実はそうしたNASにも寿命があるのをご存知でしょうか?
例えばNASの故障は何の前触れもなく突然発生するケースが多く、起こってから対処するのは非常に困難です。またファイルサーバーで使用しているOSのバージョンが古い場合、セキュリティ的にも心配です。他にも最新のNASは処理能力が高く、より便利な機能が豊富に搭載されているなど、古いNASを買い替えるメリットはたくさんあります。
NASに利用されているハードディスクは、構造上、駆動部分があるうえ、円盤とヘッドが接触して傷つく可能性があります。そのためパソコンに使用される部品の中でも、一番故障するリスクが高い消耗品として知られています。
24時間連続稼働で運用されるケースが多いNASの場合、部材の経年劣化により、約3年(36ヶ月)の運用で故障率が急激に上昇する傾向があります。
万が一の故障に備えて、データを復旧するサービスも提供されていますが、高額な費用が必要なうえ、100%復旧することができる保証はありません。